こちらで更新継続中。「Gone Home」をプレイしたよ。 ハマる人にはハマる秀作。

「Gone Home」をプレイしたよ。 ハマる人にはハマる秀作。

GONE HOME タイトルイメージ

ちょっとだけ試しにやってみよう……と軽い気持ちで始めたら、最後までプレイしちゃいました。

購入前後から常日頃気にかけてはいたものの、なかなかプレイするタイミングがなくて未着手だった「Gone Home」。 いざプレイを始めてみたら、グイグイ引きこまれていって、結局最後までプレイしてしまいましたので記事にしようかなと。

本作が描く1995年の時代に対する知識(体験がベター)があるのであれば、結構刺さる作品なのではないかなと思います。

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形式は正統派ADV、内容はなかなかに異色。

本作の雰囲気は以下のような感じです。 公式トレーラーでご確認ください。

インディーゲームということもあって、2013年の作品にしては少々モデリングが前世代的な印象を受けますが、これがプレイ中マイナスに転ぶことはありませんでした。 むしろ、

ピザの油脂 イメージ

ピザの箱に染み付いた油脂。

マグカップの跡 イメージ

マグカップの跡。

モデリングを精密かつ高精細にする方向でビジュアル面の充実を図るのではなく、こだわりの生活感表現によってビジュアル面の充実を図っています。 これにより、舞台となる一軒家で目にする光景は、モデリングの出来がそれほどでなくとも、リアリティを伴っているのです。

そんな生活の息吹を感じる一軒家で展開するゲームプレイですが、こちらは非常にオーソドックスな、一人称視点のアドベンチャーゲームになっています。

1995年6月7日午前1時15分。

海外で一年を過ごし、久々の帰宅。あなたは家族がきっと出迎えてくれる、そう思ったはずなのに、家はもぬけの殻です。何かがおかしい。皆はどこへ?ここでいったい何が?

『Gone Home』は、インタラクティブな探索シミュレーターです。そこに住む人々の物語を見つけ出すために、一見普通に見える家の中をつぶさに調べましょう。引き出しや扉を開きましょう。ものを拾い上げ、調べ、手掛かりを見つけましょう。家族が残したものを調査することで、家族の間で何が起こったのか、見い出すのです。

さあ、家に帰りましょう。

引用元: GONE HOME | このゲームでしか味わえない独自のストーリー表現 – PLAYISMブログ

家に帰ったものの、そこにいるはずの家族はいない……。 その上、本作のプレイ中は雨が降りしきり、雷鳴がとどろき、家もきしむ。 ああ、なんてホラー映画っぽい状況なのでしょう!

……しかし、あえて先に言っておくならば、本作はホラーADVではないのです。

確かに、状況や実際にプレイし始めた頃の静寂というのは、ホラーのそれを否応なくほうふつとさせられるものだったのですが……そういう、恐怖体験を主たるものにしたものではなかったのです。

本作を通して描かれるのは、95年当時の、あったかもしれないある家族のできごと……特に、あるティーン・エイジャーの女性の物語、なのであります。

その物語に触れて読み進めるのに必要となるのが、この家の探索であり、妹の遺した痕跡(調べると、妹の日記として音声が再生されるものがある)をたどることなのです。

また、家族のプロファイリングもオブジェクトを調べることでしていくことになります。 それは手紙の文面から推測できたり、置いてある物言わぬオブジェクトの存在でうかがい知れたり……。

VHS イメージ

ちょっと暗くて見難いとは思うものの、VHSの山。 (007)ムーンレイカーや、映画JFK、そしてX-Filesの録画などがある。 プロファイリングだけではなく、時代を感じるものとしてもわかりやすく、秀逸。

I WANT TO BELIEVE イメージ

ある人物の自室に貼ってあるポスター。 これもX-Filesが元ネタだが、全編プレイした後に見ると、それ以上の意味もあるのではないかと感じる。

SNES イメージ

北米版スーパーファミコンのSNESのソフト(このゲーム自体は架空のもの)。 国内のものとは形状が異なるものの、こういったものを見て回るのも楽しい。

そうして、父親の職業は? 母親はどうしている? そして自分の妹には何があった……? ときて、この妹(の日記・音声ログ)を中心にして、家族がどうして家にいないのかに迫っていくのです。

当時の状況を知っている・体験しているかで、共感度合いが変わりそう。

さて、そうして明かされる物語を味わっていく上で、はじめに書いたように当時の状況を知っているかどうかで、本作が描き出す人物に対する共感度合いが変わってくるものと思います。

本作では、先に挙げた映画やドラマだけではなく、音楽もまた、重要な部分を担っています。

ゲーム内雑誌 イメージ

ゲームに登場する雑誌のひとつ。 最上部に小さく書かれているバンド名、中央のKurt Cobainも実在している。 リアルさを出すだけでなく、こうしたロック音楽の当時の状況も、本作に関係してくる。

特に主たるものとして、当時ライオット・ガール(Riot Grrrl)が挙げられます。 “ガール”とあるように、これは女性が主体となって性差別の払拭を願って起こした、音楽などのアートを通じたフェミニズム運動のことです。

日本ではここまでの動きはなかったようですが、国内でも99年に男女共同参画社会基本法が施行されたりと、90年代は女性に関する動きが多くあり、女性に対する扱いも変わっていった時期ではあります。 そんな時期のまっただ中、特に大きな動きのあったアメリカ本国が舞台です。

我々日本人の思う以上にセンシティヴでセンセーショナルだった時代の、悩み多きティーン・エイジャーの女性(= 妹)が物語の核を担うわけですから、私のような後付けの浅い知識があるかないかでも、彼女の苦悩などに対する共感度合いが変わってくると思うのです。

あるいは、当時をティーン・エイジャーとして過ごした年代の人であれば、本作を通じて描かれるある女性の想いは、感傷と懐古と共感とが突き刺さってくるのではないかと思います。

更にその上で妹は、あるマイノリティを抱えてもいるのです。 今でこそ認知と受容がされはじめたそのマイノリティではありますが、当時はまだまだそこまで理解も波及しておらず……そのあたりも併せて彼女の音声ログを聞いていると感傷的になってしまいます。

ヴォイスアクターとローカライズが素晴らしい!

本作を魅力的なものにしているのは、ヴォイスアクター……つまり声優の演技が素晴らしい点が大きいでしょう。

あまり海外の声優については詳しくないのですが、Sarah Graysonという人が妹の声をあてている模様。 彼女の声質と演技がまた……いいんですよ。

だからこそ自嘲気味に独白する様は辛いし、幸福感を感じて高揚している様は心が暖かくなる(と同時に、不安も覚えますが)わけです。 本作の魅力における彼女の割合は決して少なくないといえるでしょう。

また、本作を十全に楽しめたのは、ローカライズ(翻訳)の出来がとても良かったから、ということが挙げられます。 単純に訳しただけではなく、我々日本人にわかるように……それでいて、元の意味からかけ離れ過ぎないような細やかな配慮が見えます。

Gone Home 日本語版のページにある、有志日本語MODが唯一にして無二の完成度を誇っていて、曰くプロの翻訳家が参加しているとか……。 おまけに海外家庭用ゲーム機版発売の折には、彼らの翻訳版がほぼそのまま組み込まれたのだそう。 公式公認というわけですね。

翻訳例 イメージ

文字を絡めたもの(言葉遊びなど)を翻訳・意訳するのは大変だが、そこも無理なく訳されている。 まさにプロのなせる業。

オーディオ・コメンタリーから伝わるこだわり、熱意。

本作には無料アップデートでオーディオ・コメンタリーが追加されました。 オプションでコメンタリー機能をオンにすると、ゲーム中に普通のプレイ時には登場しないアイコンがそこかしこに登場し、調べることで開発秘話が聞けるというものです。

正直、私はそれほど開発・制作秘話だとか、深い裏設定だとかには惹かれません。 まして、開発者が「こんなに苦労したんだ!」「こんなすごいことをやってるんだ!」だなんてベラベラ話すのは聞きたくはないです。

しかし、本作に関しては“興味が向いた”のです。 これまでに書いたようなこだわりや、熱意がゲームプレイを通じて感じられたから……めったにないことですよ、私としては。

そうして計68にも及ぶコメンタリーを全て聞きましたが、やはり並々ならぬ苦労や努力もあり、そしてそれを後押ししているのは、やはり何度も書いてきた、とても強いこだわりや熱意だったのです。

当然、ネタバレを多く含むわけですが、コメンタリーの中には先の「Riot Grrrl」時代に実際に活動していたガールズ・パンク・ロックバンドのメンバーのひとりによるコメントもあります。 当時の様子を実際に聞くことができる貴重な機会であり、とても興味深く話に聞き入りました。

本作のコメンタリーのそれは単にゲームの成り立ちだけでなく、時代背景を知る上でも有意味です。 よって、本作をプレイし、気にいったのなら、ぜひともコメンタリーも全て聞いてみることを強くおすすめします。

不満点はほぼなし。 人は選ぶが、プレイの価値は大きい。

不満点といえば、移動速度の遅さくらいなものですが……それも、本作の舞台が一軒家に限られることを考えると納得ですし、ほとんどの場合において移動が苦痛に感じることはありませんでした。 ある程度の年齡になってから、家の中を走り回ることなんてそうそうないでしょう?

また、生活感からくるリアリティに対し、どうしても家の構造が気にならないでもないです。 というのも、本作はADVなので、例によって隠し通路的なものが存在するのです。

まぁそこがちょっとファンタジーな印象も受けるのですが、それでも完全にファンタジーになってしまうような隠し通路などでもなく、こちらもそれほど気にすることなくプレイに没頭できる部分でありましょう。

要所で流れる短いBGM(ジングル)もプレイを阻害せず、感情を嫌らしくなく揺さぶってきますし、ゲーム終盤に向けてとても良い効果をもたらしていたように思います。

というわけで、本作はジャンルが……というよりは、テーマや設定(というか時代背景)などがあまり日本人に馴染みがなさそうなものであることにより、人を選ぶ作品だと思います。

ただ、先のような時代背景の知識がある、もしくは、当時リアルタイムに体験していた……というのであれば、本作の紡ぐ物語と、導き出した結末は、かなり刺さるものがあるのではないかと思います。

もし興味があり、条件に当てはまりそうであれば、プレイをオススメします。

おまけ トランプ

おまけ。 AKECHIというカードケース(トランプ)が……しかも桔梗紋がプリントされている。 どういうチョイスなんだ……。

この記事を書いた人

壬生狼
みぶろと読みます。 活動名は他にmiburo666・Lupus(ルプス)など。
ゲーム、音楽、映画などが趣味。 このブログではゲーム系記事を公開しています。
現在のアイコンはPSO2のマイキャラであるルナール。
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
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